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作文 / 小山田浩子
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 「ぼくのおじいちゃんは戦争で兵隊になって南方に行きました」。家族に戦争体験を聞きまとめる宿題を課された千本慶輔は祖父の経験を提出した。慶輔が大学四年の時にその祖父も亡くなり、家族の間であの作文のことが話題に上がる。曰く、祖父は終生大事にしていて、祖父から直接聞いた記憶のない家族は「よくぞ書き残してくれた」と感極まっているのだが、書いた本人には落ち着かない背景があった。一方、慶輔の同級生、夏目苑子は祖母の体験をまとめ、平和への祈念で締めた作文は先生やクラスから高く評価されたのだが、慶輔に「ウソなろうが」と糾弾される。時は移り二〇二四年。前年秋にイスラエルのガザ侵攻が起こり、苑子は元夫の妹のSNSと同僚の活動からパレスチナ問題に興味を持っていくのだが…。 ISBN:978-4-910207-61-2 本体価格:900円(税抜)
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マザーアウトロウ / 金原ひとみ
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 「俺らマブになろうぜ」。40歳の波那の目の前に現れたのは、上下金色でかためた53歳の義母・張子だった。出会ったその足で飲みからカラオケにはしご、昼休憩に美容整形、勢いで韓国へ弾丸旅行、と張子に付き合っていく。そのうち、嫁姑を超え、同じ女性として、人間として、改名、結婚式の有無、子供を持つことから始まり、お互い夫にも息子にも話したことのない過去や心に残るわだかまりと後悔、人生の選択について語り合うようになる。 ISBN:978-4-910207-57-5 本体価格:900円(税抜)
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冷ややかな悪魔 / 石田夏穂
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 一年中海外を飛び回っている商社勤務の有田ユカリ。ある日、本社に呼び出されると、出張禁止を告げられた。理由は、体脂肪率が高いために、万が一があると困るから。思いがけず日本での暮らしを強いられたユカリは、既婚か未婚かを問われる村社会っぷりにげんなりし、今すぐにでも海外にエクソダスしたい。そのためにも体脂肪率を下げるべくジムに熱心に通い、狙い通り数字も改善されてきた矢先、あるものを拾い......。 ISBN:978-4-910207-53-7 本体価格:900円(税抜)
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逃亡するガール / 山内マリコ
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 スタバで勉強中の優等生・山岸美羽に飛んできたペーパーナプキン。そこには、隠し撮りされていることが記されていた。窮地を救ってくれた浜野比奈と、塾に行くまでの時間を過ごすようになるが、次から次へと思いがけぬ形で追い出される。家に居場所がないと感じている美羽、パパ活のようなことをしている比奈、それぞれの実情が明らかになり……。 ISBN:978-4-911106-30-3 本体価格:900円(税抜)
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ポップ・ラッキー・ポトラッチ / 奥田亜希子
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 相田愛奈は、正しいことがなにより強いと信じている。無職の彼女の銀行口座には、幸運に得た約2億円があるにもかかわらず、節制した生活を続けている。その一方で、福祉団体等には多額の寄付をしていた。そんな愛奈のもとに、無職かつ浪費家の従姉妹・忍が転がり込んできた。さらに、Amazonの<ほしい物リスト>で約3万円分の品を贈った相手から、お礼らしいお礼がないことに愛奈は気づく。なぜ? どうして? 数々の出来事が正しさセンサーに引っ掛かり、悶々とする愛奈の日々が始まった。 ISBN:9784911106211 本体価格:900円(税別)
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め生える / 高瀬隼子
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 「みんなはげてしまうならいい。一人残らず、一本も残さずに」 髪の毛が根こそぎ抜ける感染症は、いつしか中高生以下を除く全ての人がはげる平等な世界に変えた。 元々薄毛を気にしていた真智加は開放感を抱いていたのだが、ある日、思いがけない新たな悩みに直面し、そのことが長年友情を培ってきたテラとの関係にも影響が及ぼしそうで…。 同じく、予想外の悩みは、幼少期に髪を切られる被害にあった高校生の琢磨にもある。それは恋人の希春と行った占い師のお告げがきっかけだった…。 ISBN:978-4-911106-11-2 本体価格:900円(税別)
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コンビニエンス・ラブ / 吉川トリコ
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 「アーティストであって、アイドルじゃない」5人組ダンスグループGAME BREAKERSに所属する成瀬愛生(通称:アッキー)はそんなプライドを持っている。しかしファンから聞こえてくる声は、イケメンであるとか、メンバー同士のカップリングを楽しむものとか。ある日、メンバーの灰人が噂レベルのゴシップで炎上すると、より一層、推されることの現実と理想のちがいに悩むことに。そんな折、自宅近くのコンビニに勤める青木マユと知り合い、素のまま付き合える彼女に徐々に惹かれていき…。 ISBN:978-4-910207-88-9 本体価格:900円(税別)
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ドライブイン・真夜中 / 高山羽根子
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 移民は二通りの生き方を選択させられる。セイカツシャかヒョウゲンシャか。ある日、セイカツシャである主人公は、勤めるドライブイン・レストランにやってきた刑事から「テロの予告があった」と知らされる。予告日は、ヒョウゲンシャの互助組織であるトモダチのパーティが開かれる日でもあった。突然世話することになったノラ犬、騒擾の予告、深夜の乱痴気騒ぎ、それぞれが絡み合い行きつく結末は? 芥川賞作家・高山羽根子が移民と差別をはらむ近未来を鋭利な筆致で描きとるディストピア小説。 ISBN:978-4-910207-85-8 本体価格:900円(税別)
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うどん陣営の受難 / 津村記久子
¥990
四年ごとに開かれる会社の代表選挙。一回目の投票は票が散らばったため、上位二名による決選投票が行われることになった。現体制は手堅い保守層から支持を集め、二番手につく候補は吸収合併した会社のプロパー社員のリストラ等過激なスローガンを掲げる。接戦が予想される中、両陣営共に動向を窺うのは、一回目で三位につけた候補の支持者たちであった。運動員の送り込み、ハラスメント手前の圧力、上司からの探り…。社内政治の面倒臭さをリアルにコミカルに描く。 ISBN:978-4-910207-83-4 本体価格:900円(税別)
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観音様の環 / 李琴峰
¥990
〈以下、版元ウェブサイトより〉 田舎の狭い人間関係、排他的な空気、暴力的な父親、そして母親からの過度な期待と支配から逃れるように、瀬戸内の島から憧れの東京に出たマヤは、二丁目で出会った恋人・ジェシカとの結婚を機に、彼女の故郷であり、母の故郷でもある台湾へ渡る。旧暦の大晦日、ジェシカの親族が集まる年夜飯に誘われたマヤは、思いがけず母の生まれ育った町を訪れることになり、自分自身で封印していた記憶がどんどん蘇ってくる…。芥川賞作家・李琴峰が「家族」について問い直す傑作中編。 ISBN:978-4-910207-75-9 本体価格:900円(税別)